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不変罪(映画『罪の声』感想)

※このブログは映画『罪の声』の内容に言及しています

 

 

休日はベッドの上かTVの前で過ごす怠惰な人間を、駅まで歩かせ電車に乗せ、公開初日朝イチの回に映画館へ駆け込ませるほどの期待を難なく超えてきたこの作品である

 

 

映画『罪の声

 

 

 

不勉強なことに原案となった事件のことをほぼ知らなかった。映画がリアルすぎて本当にあった事件かと錯覚するとか思ってたら本当にあった事件だった。

 

 

端的に言います。めちゃくちゃいい映画です。

 

 

感想。ゴー。

 

 

 

・冒頭、制作会社のクレジットとともに流れる音声にゾクゾクした。
善良な尾上寛之さんを見るのが初めて(リバース、アンナチュラル、竜の道)だった。
マジで今調べて知ったんだけどずっと歌舞伎役者だと思ってた 松也の親戚だと思ってた ウソ?

 

 

・当たり前に架空の店なのに、劇中に出てくる個人経営の店全部「今もあるのかな…」と思ってしまう。

 

 

・各々に信念や目的を抱え、初めはバラバラに動いていた男たちの道が交わった瞬間のカタルシス、この感じ記憶がある!!!!
空飛ぶタイヤ』だ!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

・生い立ち最悪人間だから生島姉弟の気持ちちょっと分かった(共感する相手が特殊)
脅威の相手がいる場合、そいつが死ぬまで恐怖って付きまとうよね

 

 

・上司俳優・古舘寛治さん(いろんな作品でいろんな上司をやっている)(大概頼りない)

 

 

・曽根(源)が阿久津(リッシュ)にカセットテープを聴かせるシーン。音声の前後に歌謡曲をノリノリで歌う曽根少年の歌声が収録されているので、「あっすいません…(恥)今のは……///」みたいなやり取りがあったかもしれない

 

 

・実在の事件をモデルにした商業映画のワンシーンに、事件をエンタメとして消費するなんて間違ってる!的なやり取りが出てくる皮肉

 

 

・関西弁ってこんなんだっけ

 

・永田町の隠喩かっこいい

 

・主題歌めっちゃエエ曲ね

 

 

 

おふざけ感想はここまでに、ここからは少々真面目に。

 

 

 

鑑賞後も、暫く余韻が残る作品でした。

 

自分が世間を震撼させた大事件に関わっていたことを大人になってから知る曽根。
自分と同じ境遇の生島姉弟の存在と、その過酷な人生を知り、幸せに生きてきたことに罪悪感を覚える。
阿久津の言う通り、罪の意識に苛まれるべきは彼ではないのに。
葛藤する曽根の繊細な心情をその身で、その声で描ききった星野源さんの姿に心奪われました。

 

 

犯人グループのうちの1人と対峙した阿久津は、「化石」と言い放ちます。

 

 

世界を変えようと、未来を変えようと学生運動に身を費やしていた若者たちは、自分たち自身がその時の熱に囚われたまま、未来への大きな代償を残し罪を犯してしまう。

 

 

時は過ぎ行く。
街が変わる。
生活が変わる。
法律が変わる。
声が変わる。

 

変遷し変わり行く時代に投げ込んだ火炎瓶は、果たして何を残したか。
世界は変わらないと嘆いた自分こそが一番変われていないのではないか。

 

 

事件の真相は暴かれど、いや暴かれたこそ、曽根はその声の罪を抱えて生きていくかもしれない。もう二度と、その声で誰かを傷付けないように。

 

 

 

 

 

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